地域のニーズを掘り起こし 町を元気にする地域商社

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上士幌町では、まちの観光資源や人を活用したビジネスを作り出そうと、「観光ビジネス創出事業」に取り組んできました。そして観光をリードするDMO候補法人(※)として、2018年5月に「株式会社karch」(以下カーチ)を設立。上士幌の価値を見いだし、広く伝えていくことを目指しています。

※DMOとは・・・地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りを醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりを実施する法人のこと。


カーチは、2019年6月グランドオープンのナイタイ高原牧場「ナイタイテラス」の運営をはじめ、2020年に完成予定の道の駅の運営も担い、町内のバイオガスプラントで発電した電力を活用した小売販売事業も行っています。その事業内容やナイタイテラスの特徴、今後の展望について、事業統括部長の中田将雅さんと調理・料飲部長である髙橋雅也シェフに伺いました。

ふるさと納税寄附金が委託運営を支援
中田さんはカーチを「地域のニーズを掘り起こし、課題やこれまで行き届かなかったサービスに着目し、ビジネス化していくための地域商社です」と話します。

「例えば、上士幌町には多くの地域資源があります。この地域資源を生かして滞在してもらいたいと考えます。農泊、民泊を含めた宿泊する場所を整え、体験型観光を通し、どう町を楽しんでもらうか、どうすれば人を呼べるか。その仕組みづくりを考えるのが当社の事業です」。


まずは、町の拠点施設となるナイタイテラスの指定管理者となったカーチ。ふるさと納税の寄附金によって町からの運営委託費がまかなわれ、基礎となる部分を支えてもらったからこそ、拠点施設の運営が実現しました。「町を応援してくれる寄附金を、観光客の皆様へのおもてなしとして還元していきたい」と意気込みます。

開放感あふれる雄大な景色が自慢のナイタイテラス
雄大な景色が観光客に人気のナイタイ高原牧場。山の斜面がまるごと牧場になっていて、総面積約1,700haもの敷地に牛たちが放牧されています。しかし2015年10月、大型低気圧による暴風雨で頂上付近に建つレストハウスが倒壊し、その後新しい施設の整備が待ち望まれていました。


そしていよいよ2019年6月「ナイタイテラス」がグランドオープン。広大な十勝平野の向こうに阿寒方面まで見渡せる山々が連なり、胸のすくようなパノラマの眺望を楽しめるロケーションが最大の自慢です。

「テラス内は展望側を全面ガラス張りにし、カウンターを多めにしました。建物の角度は、一番良いパノラマを楽しめるように駐車場に対して”7度”傾けており、広大な牧場と山々の眺望を心ゆくまで楽しんでいただけます」と中田さん。


一角では、大型ディスプレイで町の観光ガイドを行い、上士幌町のお土産品も揃えて販売しています。道の駅が完成すれば相互に情報を発信し、町の観光へとつなげる役割も担う予定です。そのほか、小さなお子様が遊べるキッズスペースや授乳室、景色を堪能できるトイレの開放的な造りなど、随所に細やかな心配りが見られ、幅広い世代が心地よく過ごせるよう工夫を凝らしています。


観光客も地元の方も「また来たい」と思える場所に
ナイタイテラスでは素材から厳選したプレートランチやデザート、ドリンク、テイクアウトメニューが味わえ、長年洋食の世界でキャリアを積んだ髙橋シェフが腕をふるいます。

野菜は「かあちゃんばあちゃん野菜市」という農家グループから直接仕入れ、「これ作ったから使ってみて」「規格外の野菜だけど」と持ち込まれる野菜を前に、「こんな味付けが合うかも」など何気ない会話の中から新しいアレンジが生まれることもあるそうです。


「形が小さいもの、曲がったものでも味は変わりません。切り方、見せ方一つでオシャレなサラダに生まれ変わります。町内では野菜は春ならアスパラ、夏ならトウモロコシなど季節ごとにあり、肉も十勝ナイタイ和牛、十勝ハーブ牛が生産されています。地元の素材を生かしてアレンジし、おいしく提供したいですね」と髙橋シェフは笑顔で話します。


また、大人気の「ソフトクリーム」への思い入れも並々ならぬものがありました。

「これ以上は食べられないというほど試食し、試行錯誤を重ねました。最終的な調合は当店のオリジナルで、濃厚だけれどしつこくなく、バランスの良い味わいに仕上がっています」と自信をうかがわせます。ソフトクリームは「しろ(よつ葉ミルク使用のバニラ味)」「くろ(ショコラ味)」そしてミックスの「うし」があり、やはり牛の品種「ホルスタイン」柄を模した白黒の「うし」が一番人気。牧場の牛を眺めながら、ぜひ味わいたい一品です。


髙橋シェフは「ここで景色と味覚を楽しみ、ゆったりと過ごしてほしい」と話し、「観光客も地元の方も一度訪れたらまた行きたい、毎年必ず立ち寄りたいと思っていただけるような場所にしていきたいですね」と抱負を語ってくれました。

さまざまな事業化を進め雇用創出へとつなげたい
2020年にオープンする道の駅は町のゲートウェイ(入り口)として、商店街への人の流れを確保するための大事な施設です。そのためカーチでは、道の駅で販売する新商品の開発にも力を入れています。さらに、バイオガスプラントで発電した電力の小売販売事業など、エネルギーの地産地消を目指しているほか、今後は宿泊型体験観光の商品化やイベント開催にも取り組む予定です。

「今の小・中学校の子どもたちが社会人になった時、この町で働ける環境を整備したいと考えています。カーチに入社して、一緒に町を盛り上げていきたいという人材が出てくればうれしいですね」と中田さん。

地域のニーズを拾いタネを育て、ゆくゆくは雇用の創出へと動き出したカーチ。スタッフと生産者、町民みんなが関わり合い、気軽に会話を重ねる中でアイデアが生まれ、そこからビジネスへと発展していく、そんな手応えを感じています。

◆ナイタイテラス
営業:4月下旬~10月下旬