楽器更新と外部講師の指導 合同コンサートでめきめき上達!

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上士幌町の教育指針では、地域ぐるみで子どもたちの成長を支え、子どもが自ら未来を切り開く力を身に付けることを目標としています。その目標実現にむけた具体的な行動を示した「かみしほろ学園構想」の推進にふるさと納税の寄付金が活用されています。

学園構想のひとつに幼保小中高の教育の連携を掲げており、モデル事業として「上士幌中学・高校の吹奏楽部の活動連携」に取り組んでいます。取り組みでは、3年をかけて「楽器更新事業」を行うほか、「外部講師によるレッスン」や中学・高校合同の「ジョイントコンサート」を実施。今回は、中学・高校の吹奏楽部にお邪魔し、顧問の先生と生徒の声を聞いてみました。


古い楽器は音が不安定で壊れやすい 楽器の修理代を顧問が負担するケースも
学生時代、吹奏楽部でホルンを担当していた上士幌高校の野村啓介先生は、赴任先で吹奏楽部の顧問を務めるようになりました。限られた予算のなか、吹奏楽部で使う楽器の老朽化に対応するため、安い楽器を購入することもあったといいます。日頃時間をかけて練習しても、安い楽器の音質では、練習の成果が反映されにくいそう。また、古い楽器は音が不安定で、壊れる頻度も高く、部員のモチベーションも下がります。「楽器の購入まで手が届かない場合、まずは修理費用を何とかしなければなりません。修理代を生徒が負担する部活動費に上乗せするわけにいきませんので、顧問が負担することになります。次々と壊れる楽器の修理代は、学校から充てられる部活動の予算では全然足りず、顧問が負担しなければ吹奏楽部の活動は続かないのです」と厳しい内情を語ります。


ふるさと納税で楽器を更新 生徒のモチベーションがアップ!
そんななか、上士幌町ではふるさと納税の寄附金を活用した「かみしほろ学園構想推進事業」で、3年間かけて楽器の更新を行います。「本当にふるさと納税の寄附金には感謝しています。町の教育への手厚い支援も、ありがたいと思っています」と野村先生。今年度、高校ではホルン、フルート、そして約70万円もするチューバなどの購入に援助を受けました。中学校でもホルン、フルート、ドラム、タンバリン、パーカッションの練習台が更新されています。

早速新旧のチューバを見せてもらいました。新品は本当にピカピカと光り輝き、見ているだけでもテンションが上がります。60年以上使っているチューバは音がこもって、均一の音が出ません。音と音のつながりもスムーズにいかず、演奏者にとってはストレスが大きくなるといいます。


中学の頃からチューバを演奏しているという藤本さん(高校1年)は、「新しい楽器は音がクリアに出て気持ちがいい。イメージした音が出せるようになりました」と話します。10kgもあるチューバを大事そうに抱きかかえながら音を出し、古い楽器とは全然違う感触を楽しんでいるようでした。

一方、中学の吹奏楽部部長の森下さん(中学3年)も「新しい楽器を見た時、部員はものすごく喜んでいました。新品は音の響きがまったく違って、早く上達できそうな気がします」と喜びます。


上達の手応えを感じたプロ講師の指導
「楽器更新事業」に加えて、大きな効果を生み出しているのが外部講師を招いて行われるレッスンです。前回は、帯広地区吹奏楽コンクール曲を作曲した「坂井貴祐(たかまさ)」氏を招くことができ、「曲の背景やイメージなど、作曲家ならではの目線での指導は、曲のニュアンスを理解するために大変勉強になりました」と中学校吹奏楽部顧問の吉田幸大先生は振り返ります。また、講師選びについては、高校顧問の野村先生がホルン奏者として吹奏楽部に長く在籍していた縁を生かし、自分の後輩や仲間などに声を掛けることもあります。今年の講師である小谷晋一氏も、同じホルンを演奏していたことで知り合った音楽仲間の一人でした。


「彼はホルンのプレーヤーとして、有名なアニメのサウンドトラックに参加するなど実力があります。演奏の技術はもちろんのこと、中学や高校など教育現場での指導経験も豊富で、生徒の心をつかむのが上手。ここはこうしたら?とアドバイスし、次のレッスンで個々の成長を認め、次のステップへと押し上げる力量があります」と、小谷氏に絶大な信頼を寄せています。

高校の吹奏楽部長の石川さん(高校3年)は、外部講師による指導が始まってから、全員がめきめき上達したと手応えを感じています。中学校吹奏楽部の森下部長も「今まで諦めていたことを講師が細かく指導してくれて、身に付けることができました」と新しい発見があったようです。さらに石川部長は「高校入学後に楽器を始める人も多いので、今後は指導で身に付けた技術や知識を後輩たちに伝えていければと思っています」と、次の世代へこの成果をつなげる大切さを語ってくれました。


ジョイントコンサートでの合同演奏は刺激を与え合う場に
中学・高校の吹奏楽部が合同で行うジョイントコンサートは、毎年3月に恒例行事として開催されるほか、町のイベント「北海道バルーンフェスティバル」でも行われています。

中学顧問の吉田先生は「子ども同士で刺激を与え合っていると感じます。特に中学生たちは、高校生のレベルの高さ、曲への取り組み方に刺激をもらい、また明日から頑張ろうというモチベーションアップにつながっていると思います」と言い、合同で演奏することに大きなメリットを感じています。

また、合同演奏は地元の商店街のイベント等でも行われ、地域イベントの盛り上げには欠かせない存在です。地元の住民は、聴くたびに部員たちの成長が感じられる演奏を毎回楽しみにしており、中学・高校の吹奏楽部の活動を応援しています。


感謝の気持ちを込めて練習に励み 多くの方にいい演奏を届けたい
中・高校生の部員たちは、夏に行われる帯広地区吹奏楽コンクールを目標に毎日練習してきました。コンクールでは金賞受賞校から北海道大会に行く学校が選抜され、さらに全国大会への選考が行われます。両校ともふるさと納税の寄附金に感謝し、結果を出したいと意気込んでいましたが、高校は金賞を獲得したものの、中学校は惜しくも銀賞に終わり、残念ながら両校ともに北海道大会への出場切符を逃しました。

中学校顧問の吉田先生は「コンクールの結果が全てではありませんが、我々の演奏を上士幌町の中や外で、ふるさと納税の寄附者を含め、一人でも多くの方に楽しんでもらいたいです。聴いていただくことで恩返しができればと思っています」と力を込めます。結果はどうあれ、コンクールでの経験は今後の糧となるに違いありません。


「楽器更新」「外部講師による指導」「ジョイントコンサート」は、ふるさと納税の寄附金によって実現したもの。「こうした支援に感謝し、今後は新しい部員へも伝えていきたい」と顧問の先生は口を揃えます。中・高校生の部員たちも、町と寄附者の方への大きな感謝の気持ちを胸に、次の演奏活動へ向けて日々練習に取り組んでいます。