ふるさと納税とは お礼の品一覧 使い道 ワンストップ特例制度 FAQ お問い合わせ

蜜蜂と旅をする「十勝養蜂園」


2024/07/30

 十勝養蜂園は1964年に創業してから、60年にわたり本州と北海道を行き来して移動養蜂を営んでいます。蜂を育て、蜜を集め、瓶詰して販売まで一貫して行っています。

 十勝養蜂園三代目代表の斉藤達也さん、奥様の純さんにお話を伺いました。

蜜蜂とともに全国へ

――移動養蜂とは、どのように行うのでしょうか?

 花の咲く時期に合わせて蜜蜂と共に全国を飛び回ります。冬は三重県内で次の世代の蜂を育て、春に山形県内に移動してその年最初の採蜜が始まります。

 蜂が集めてくるのはトチノキの花の蜜。ここで1か月ほど採蜜した後、6月初めに北海道に戻ってきます。そしてアカシア、シナの木(菩提樹)、クローバーなどの花から蜂たちは一生懸命に蜜を集めます。秋になり植物が冬支度を始めると、再び三重県を目指します。


――移動養蜂をする際に、気をつかうポイントなどはありますか?

 一番気をつかうのは、山形県から北海道に蜂が入った巣箱をトラックで運ぶときです。1箱に約3万匹もの蜂が入っていて、箱の中で蜂たちが羽を震わせることで熱が発生し内部は高温になります。また外気温が高いと蜂が死んでしまうこともあります。トラックが走っているときは風が当たり冷却されますが、津軽海峡をフェリーで渡るときは蜂箱の上に氷の塊を乗せて冷やしています。


十勝養蜂園のこだわり「蜂蜜の熟成」

――十勝養蜂園の蜂蜜のこだわりを教えてください。

 日本養蜂協会の基準では、糖度が78度以上あれば国産天然蜂蜜として認められます。十勝養蜂園では基準よりも高い糖度になるまでよく寝かせ、熟成された高品質な蜂蜜だけを販売しています。最初は木の枠に巣礎1枚あるだけの状態から、蜂が巣を作り、六角形がいくつも連なったハニカム構造が出来上がります。

 蜜は、最初は手で振ったら出てきてしまうくらい水っぽいですが、蜂が巣箱の中で羽を動かし、水分を蒸発させて糖度が上がると自ら蜜蓋を作り、粘度のある蜂蜜になります。水分を蒸発させることで高濃度の蜂蜜になります。十勝養蜂園では、巣箱熟成によって基準より高い糖度を実現しています。


蜂蜜のスパイス「シナ」

―――様々な蜂蜜の種類がある中で、斎藤さん個人が好きな種類はありますか?

 上士幌町のぬかびら源泉郷をはじめ十勝地方で採取しているシナです。ほかの蜂蜜と全く違う味わいで、よく「ハーブのような香り」と表現します。元々料理人だったこともあり、こういったパンチの効いている蜂蜜のほうが料理に入れた時に香りが残るので気に入っています。

 シナは香りや味わいのインパクトの強さがほかの蜂蜜と違い、北のハイグレード食品2024で食のプロにも選ばれました。蜂蜜は甘いものというイメージがありますが、僕は“スパイス”と認識しています。料理のソースやお菓子作りにもオススメで、食べた瞬間の味わいと後に残る香りが全然違います。レモネードなどの柑橘系に入れたり、カレーに入れたりするのがオススメです。

 蜂蜜は基本的には砂糖代わりに使うイメージで、花の香りがつくので料理には何でも使えます。花の種類によって味も香りも全く異なるので、ぜひお気に入りを見つけてみてください。


自然の恵みを有効活用 meeets化粧品セット

――新たな試みとして始めた、蜂蜜とミツロウを使った化粧品について教えてください。

 “食べる”以外の蜂蜜の使い方を模索していたところ、化粧品関係の仕事をしている方と知り合い、蜂蜜とミツロウを使った保湿重視の化粧品の商品化が実現しました。

 ミツロウは、蜜蜂が巣を作る際に分泌されるもので、廃棄されてしまうことが多いです。ミツロウが持つ素材の力を活かして、化学製品を使わずに仕上げました。

 保湿バームの固さは、ミツロウがたっぷり入っている証拠です。軟らかくしようと思えばいくらでもできますが、そうすると別の成分で薄めることになります。限界ギリギリまで濃度を上げるために、固めの化粧品になっています。じっくり体温で温めて使っていただけたらと思います。



 三代目の達也さんは、先代が大切にしてきたものを受け継ぎながら、新しい分野に挑戦し続けています。こだわりの詰まった“本物”の蜂蜜を、ぜひ手に取ってみてください。


十勝養蜂園公式サイト