仕事も趣味も野菜作り 兄弟で営む「須田農場」
2024/08/07
上士幌町にある「須田農場」では、兄の侑希(ゆうき)さんと弟の和雅(かずまさ)さんが兄弟で農業を営んでいます。
広大な畑でじゃがいもや豆、てん菜などを栽培し、農家として日本の食を支えながら、最上級の美味しさを目指す野菜作りもしています。野菜を市場に流通させるためには、収穫量や安定供給など考慮しなければいけないことがたくさんあり、それは食を守るためにとても大切なことです。ただ食べ物を作る仕事だからこそ、とびきり美味しい野菜を作りたいという強い思いから、味以外のことを一切気にせず100%美味しさだけにこだわる「美味しさ専用畑」を用意したそうです。食料の安定供給と美味しさの追求を両立するおふたりの思いを探りました。
(侑希さん)僕たちが考える美味しさとは、「作物が健康に育つことで、その品種の持ち味を最大限に引き出した味」のことです。作物には本来、甘みや酸味のほかに様々な雑味が含まれ、味の深み、複雑さを生みます。しかし形や棚持ちの良さ、病気への耐性などを優先すると、その雑味を生かすことができなくなります。僕たちは味の複雑さや深みを感じられる野菜を作るために、健康に育つ土づくりと美味しい品種選びを大切にしています。
(和雅さん)作物を大きく育てるためには窒素、リン酸、カリウムの3要素が必須ですが、健康に育てるためには微量なミネラルも重要で、バランスを整えながら土づくりをしています。そうすることで、健康に育ったときにその品種の持っている様々な雑味がしっかり主張するようになります。
(和雅さん)美味しさを左右する品種選びは、1年に同じ作物の複数品種を育て、その中から作物がもつポテンシャルを最大限に発揮できる品種を翌年のエースとして育てる方法で行っています。1年間に育てられるのは1回きりなので、育て方も複数パターンを同時に試してこの土地に最適な方法を見極めています。
――「美味しさ専用畑」では手間もコストも惜しまないというほど、須田さんが美味しさにこだわるのはなぜでしょうか?
(和雅さん)妹の高校の先生に野菜をおすそ分けしたことがきっかけで、「美味しかった」「来年もまた食べたい」と喜んでもらえたことが原体験になっています。もっと美味しい野菜を作りたいと思った時に、農家の仕組みとして美味しさを追求しづらいと感じました。
農家には食料供給で命を守るという大切な使命があります。そのために生産性や量を重視し、美味しさを犠牲にしなければならないこともあります。売り場で長持ちさせるために、美味しさのピークになる前に収穫することが多いのです。もちろんその中でも美味しい野菜を届ける工夫をしていますが、“一番美味しいものを届けたい”という気持ちから、美味しさ追求に特化した野菜作りを始めました。
(和雅さん)コーンは花粉が広範囲に飛んで隣の畑と混ざりやすいので、近隣の畑と品種を統一する必要があります。だから美味しい品種があっても入れ替えが難しいのです。僕たちは時期をずらして手間をかけることで、希少価値の高いホワイトコーンを育てています。緯度が高く晴天率が高いことで、上士幌町の夏の日照時間は長いです。長時間の光合成によって糖分が作られ甘みが強くなります。またホワイトコーンは健康に育つと、甘みだけではなく様々な雑味が主張し、味の奥行きが増します。須田農場は、実がぎっしり詰まった甘くてジューシーなホワイトコーンをお届けします。
(侑希さん)寒締めほうれん草は寒い環境で育つことで甘くなります。通常は12月に出荷されることが多いですが、須田農場では一番寒く氷点下20度を下回る日が続く1月に収穫することで、段違いの甘さと味の濃厚さを引き出しています。その分、土中の肥料や水分のコントロールの難易度も上がりますが、一番美味しいものを食べていただきたいので、工夫をしながら作っています。
(侑希さん)僕たちは日々美味しさを追求していますが、農家の一番の使命は安定した食料供給を続けることだと考えています。近年、気温上昇やそれに伴う病気の流行で、今までの産地で作りにくくなった作物が増えています。安定的に食料供給するには、産地の分散化が必要です。そのため須田農場では、九州で収穫量が減っているさつまいもの栽培に挑戦しています。同じ品種でもねっとり感の強い須田農場のさつまいもを、ぜひ味わってみてください。
――今一番伝えたいメッセージを教えてください。
(侑希さん)野菜はもっと美味しいということを知ってほしいです。野菜嫌いな方にも、本当の美味しい野菜を食べてほしい。農家が美味しさに本気を出すことができれば、スーパーで並んでいる野菜と比べてワンランクどころじゃないくらい美味しく作ることができるのです。今の農業は美味しさの追求にチャレンジしづらい状況にあります。その中で頑張っている農家を知ってほしいと思っています。農業全体がもっと美味しさを追求できる環境になるように、応援してくれると嬉しいです。
須田農場公式ホームページはこちら
広大な畑でじゃがいもや豆、てん菜などを栽培し、農家として日本の食を支えながら、最上級の美味しさを目指す野菜作りもしています。野菜を市場に流通させるためには、収穫量や安定供給など考慮しなければいけないことがたくさんあり、それは食を守るためにとても大切なことです。ただ食べ物を作る仕事だからこそ、とびきり美味しい野菜を作りたいという強い思いから、味以外のことを一切気にせず100%美味しさだけにこだわる「美味しさ専用畑」を用意したそうです。食料の安定供給と美味しさの追求を両立するおふたりの思いを探りました。
美味しさの定義「持ち味を最大限に引き出した味」
――須田さんが目指している“美味しい”の定義とは?(侑希さん)僕たちが考える美味しさとは、「作物が健康に育つことで、その品種の持ち味を最大限に引き出した味」のことです。作物には本来、甘みや酸味のほかに様々な雑味が含まれ、味の深み、複雑さを生みます。しかし形や棚持ちの良さ、病気への耐性などを優先すると、その雑味を生かすことができなくなります。僕たちは味の複雑さや深みを感じられる野菜を作るために、健康に育つ土づくりと美味しい品種選びを大切にしています。
健康に育つ土づくり
(和雅さん)作物を大きく育てるためには窒素、リン酸、カリウムの3要素が必須ですが、健康に育てるためには微量なミネラルも重要で、バランスを整えながら土づくりをしています。そうすることで、健康に育ったときにその品種の持っている様々な雑味がしっかり主張するようになります。
美味しい品種選び
(和雅さん)美味しさを左右する品種選びは、1年に同じ作物の複数品種を育て、その中から作物がもつポテンシャルを最大限に発揮できる品種を翌年のエースとして育てる方法で行っています。1年間に育てられるのは1回きりなので、育て方も複数パターンを同時に試してこの土地に最適な方法を見極めています。
美味しさ追求の原点は「来年も食べたい」の言葉
――「美味しさ専用畑」では手間もコストも惜しまないというほど、須田さんが美味しさにこだわるのはなぜでしょうか?
(和雅さん)妹の高校の先生に野菜をおすそ分けしたことがきっかけで、「美味しかった」「来年もまた食べたい」と喜んでもらえたことが原体験になっています。もっと美味しい野菜を作りたいと思った時に、農家の仕組みとして美味しさを追求しづらいと感じました。
農家の使命と美味しさ追求の両立
農家には食料供給で命を守るという大切な使命があります。そのために生産性や量を重視し、美味しさを犠牲にしなければならないこともあります。売り場で長持ちさせるために、美味しさのピークになる前に収穫することが多いのです。もちろんその中でも美味しい野菜を届ける工夫をしていますが、“一番美味しいものを届けたい”という気持ちから、美味しさ追求に特化した野菜作りを始めました。
ふるさと納税のお礼の品
――上士幌町ふるさと納税のお礼の品となっている野菜について教えてください。実がつまり、ふっくらジューシーなホワイトコーン
(和雅さん)コーンは花粉が広範囲に飛んで隣の畑と混ざりやすいので、近隣の畑と品種を統一する必要があります。だから美味しい品種があっても入れ替えが難しいのです。僕たちは時期をずらして手間をかけることで、希少価値の高いホワイトコーンを育てています。緯度が高く晴天率が高いことで、上士幌町の夏の日照時間は長いです。長時間の光合成によって糖分が作られ甘みが強くなります。またホワイトコーンは健康に育つと、甘みだけではなく様々な雑味が主張し、味の奥行きが増します。須田農場は、実がぎっしり詰まった甘くてジューシーなホワイトコーンをお届けします。
より甘く、味の濃い寒締めほうれん草
(侑希さん)寒締めほうれん草は寒い環境で育つことで甘くなります。通常は12月に出荷されることが多いですが、須田農場では一番寒く氷点下20度を下回る日が続く1月に収穫することで、段違いの甘さと味の濃厚さを引き出しています。その分、土中の肥料や水分のコントロールの難易度も上がりますが、一番美味しいものを食べていただきたいので、工夫をしながら作っています。
未来のために根を張るさつまいも
(侑希さん)僕たちは日々美味しさを追求していますが、農家の一番の使命は安定した食料供給を続けることだと考えています。近年、気温上昇やそれに伴う病気の流行で、今までの産地で作りにくくなった作物が増えています。安定的に食料供給するには、産地の分散化が必要です。そのため須田農場では、九州で収穫量が減っているさつまいもの栽培に挑戦しています。同じ品種でもねっとり感の強い須田農場のさつまいもを、ぜひ味わってみてください。
「野菜はもっと美味しい」農家の野菜を食べてほしい
――今一番伝えたいメッセージを教えてください。
(侑希さん)野菜はもっと美味しいということを知ってほしいです。野菜嫌いな方にも、本当の美味しい野菜を食べてほしい。農家が美味しさに本気を出すことができれば、スーパーで並んでいる野菜と比べてワンランクどころじゃないくらい美味しく作ることができるのです。今の農業は美味しさの追求にチャレンジしづらい状況にあります。その中で頑張っている農家を知ってほしいと思っています。農業全体がもっと美味しさを追求できる環境になるように、応援してくれると嬉しいです。
須田農場公式ホームページはこちら